『Album Review』 -【Methrone / Sexual Content】-
Methrone / Sexual Content
"10年間"
ある人にとっては、短いもの。またある人にとっては非常に長いもの。
言い換えれば多種多様で、感じ方も人それぞれなわけですが、この男にとって10年間とはどのようなものだったのだろうか。
そのような他愛もない疑問を抱きながら、聴くことになった今作品。
2000年にリリースしたデビュー作品、『My Life』が「R.Kelly」の声にそっくりと言うことで話題を呼び、翌2001年には、2nd Album『Picture Me』,『Chemistry(2006)』,『Instant Replay(2007)』と計4枚のアルバムをリリースしてきた「Methrone(※元の活動名はBishop)」
10年間もの間、日の目を浴びずインディーズシーンで活動し続ける彼の作品には「葛藤」というものが少なからずあるのでは無いかと考えてしまった自分自身に、非常に後悔の念を抱く作品になるとは思いもよりませんでした。
まず、その理由の一つとして挙げるのなら、彼の音楽のスタイルそのものだと考えられます。
近年、コアなR&Bファンから指摘されつつある、「R&Bのポップ、エレクトロ路線」
時代の変化とともに、音楽の形態が変化するのは致し方ないものだと感じることは多々あります。
ですが、彼にとって、R&Bを他ジャンルと混合させることが"油に水"だと感じたのでしょうか、2000年のデビュー当時から良い意味で変化をしていないのです。 (アルバムジャケットのいなたさも変わっていない気が・・・)
通算5枚目となった今作『Sexual Content』に収録されている、『He Can't Do Feat. Sinamin』では、堂々と「It's The Baby Maker!」なんて言ってますし、ロマンテイストな部分から、90年代仕掛けのエッセンスまで、現行のR&Bとは一線置いた本来の"R&B"の奥ゆかしさを表現しています。
また、現行サウンドを取り入れていないからと言って、決してミニマムな作品で止まっているのではなく、ここまで彼が積み上げてきたそれこそ「R.Kelly」に似ていると言われるものから「R.Kelly」を越えるアーティスト性を磨いた作品になっているのではないでしょうか。
さらに、前作から5年ものブランクがあったにも関わらず、自身を奮い立たせるかのように孤高の志を守り、「善は急げ」とばかりに、畳み掛ける至極のスロウバラードの数々はただ数を埋めるだけでなく、彼が培ってきたR&Bに対する堅実さをモノローグに誇示しているかのようです。
それに加え、音楽メランコリック時代に"待った"をかける彼の問いかけは層々たる力強さを持っており、アルバム全18曲を通してアッパーチューンは皆無なものの、貪欲なまでにもアルバムコンセプトをしっかり煮詰めているのですから納得できます。
打ってつけは、前述で挙げた「R.Kelly」を彷彿させる艶のある彼の美声。
この風格からは想像もできないテナーヴォイスがセンシティブな情緒を表現し、それであって後味を濁さない。
彼の作品を聴き、改めて気づかされたことは、不変的な音楽市場で、変化に動じないこの類の作品は音楽マーケットを度外視したものではなく、本当に今リスナー側が求めているのものなのだということです。
1: Sexual Content
2: Freak U
3: He Can't Do feat. Sinamin
4: Supa Woman
5: 2 Nite
6: Body
7: Time's Up
8: All Nite
9: So Thick feat. Sinamin
10: Gonna Luv
11: Panties & Heels
12: My Shawty
13. All The Way
14: In This Room
15: Luv Like This
16: I Feel Like...
17: Neva Had A Chick
18: Gonna Luv (Prime Mix)
2. Freak U
90年代の良きR&Bを彷彿させるような、マイナー感満載のメロディラインにMethroneのねっとりした歌声が絡むスロウジャム。
しっかりと芯の通った歌声で、"聴かせるR&B"をここぞとばかりに表現した一曲です。
3. He Can't Do feat. Sinamin
フィメールラッパー「Sinamon」を迎えたミドルチューン。
情緒溢れる楽曲になっていますが、それでもサディスティックな部分はあまり感じられなく、有りっ丈の思いをエモーショナルに歌い上げた楽曲になっているのでは。
冒頭では「It's The Baby Maker!」とシャウトする箇所があったりと、アルバムタイトル『Sexual Content』に沿ったR&Bマナーをしっかりと守った作品。
7. Time's Up
アコギが絡む哀愁系ミッド。
ベテランの貫録も漂わせながら、非常にシルキーなテイストを幾分にも発揮し、フレッシュさも持ち合わせた楽曲。
9. So Thick feat. Sinamin
このアルバム一番の目玉曲でもあり、メインストリームを意識したドキャッチーな楽曲。
それに加え、『R.kelly / I'm A Flirt Feat. T.I. & T-Pain 』のネタ使いではないかと思うほどのクオリティで、彼の歌声が確固たるポテンシャルを魅せつけています。
12. My Shawty
美しいピアノが旋律を成すを今曲は、ドリーミーなパッションがムーディなひと時を彩ります。
それ故に伺える、アルバム後半からの彼の堅実さに、幾分にも注目して頂きたい。
15. Luv Like This
Methroneの優しいボーカリゼ―ションがソウルネスなハーモニーを見事に表現した楽曲。
異を唱える者無しの、至極のバラードここにあり。
![]() | (2012/06/27) メスローン (METHRONE) |
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この記事へのコメント
ご返事遅くなりました。
コメントの方ありがとうございます。
そうですね、そういった意味でもいちファンとして温かく見守っていきたいですね。
ブログの方も拝見させて頂きます、今後ともよろしくお願い致します。
コメントの方ありがとうございます。
そうですね、そういった意味でもいちファンとして温かく見守っていきたいですね。
ブログの方も拝見させて頂きます、今後ともよろしくお願い致します。
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URL :
- mokkunmcknight - 2012年08月19日 21:26:03
強い精神力(ソウル)を感じます。
独特のねっとりした低音がいいですね。
自分もR&Bが大好きです
よろしければ聴いて下さい。